すずちゃん卵って1日1個がいいって聞いてたけど、週12個でも大丈夫って記事を見たんです。ほんとですか?



うん、2024年の研究では週12個まで食べてもコレステロールは上がらなかったの。でもね、その研究は栄養を強化した特別な卵を使った小規模な実験なのよ🍳
ここ数年、「卵=コレステロールが高いから控えるべき」という常識は、
世界中の研究で次々と見直されています。
ただ、情報が増えすぎた今――
「結局、1日何個まで食べていいの?」
「週にどのくらいが安心なの?」
と迷う人も多いはずです。
この記事では、2024〜2025年に発表された最新の臨床試験と大規模研究をもとに、
卵の科学的に安全と考えられる摂取量をやさしく解説します。
短期的には「12個/週」でも問題なかったとされる研究や、
長期追跡で「週1〜6個が最もバランスが良い」と示したデータなどを紹介しながら、
「1日1〜2個」が現時点で最も現実的で安心なラインである理由を一緒に見ていきましょう。
🍳 この記事でわかること
- 2024年の臨床試験で示された「週12個まで安全」とされた結果の意味
- 小規模研究であること、強化卵が使われた点など注意すべきポイント
- 2025年の大規模研究が示す「週1〜6個が安全」な根拠
- 世界と日本で異なる卵の安全基準の見方
- 今日から安心して卵を食べるための実践的アドバイス
🔬【2024年研究】週12個まで食べてもコレステロール悪化なし(ただし強化卵)



みどりん先生、週12個でも安全って本当なんですか?



うん。2024年の『PROSPERITY試験』では、心血管リスクのある中高年140人が週12個の強化卵を4か月間食べても、コレステロールや血糖値は悪化しなかったのよ🍳
🧪 心血管リスクをもつ中高年が対象。4か月間の短期試験で悪化なし
この研究(出典:American College of Cardiology, 2024年)は、
心血管疾患を持つ、または高血圧・高コレステロール・糖尿病などのリスク要因を複数持つ中高年層(50歳以上)を対象に行われました。
- 被験者数:約140人
- 期間:4か月
- 摂取量:週12個(=1日約1.7個)
- 結果:
- LDL(悪玉)コレステロール → 変化なし
- HDL(善玉)コレステロール → わずかに上昇傾向
- 血糖・体重 → 有意な悪化なし
研究チームは、糖尿病患者を含むサブグループでも同様の結果を報告しており、
高リスク群でも短期間の摂取で悪影響は見られなかったとしています。
⚖️ 強化卵を使用。通常の卵で同じ結果になるかは未検証



じゃあ、普通の卵でも週12個まで食べても大丈夫ってことですか?



そこは注意が必要ね。この試験で使われたのはオメガ3やビタミンDを加えた強化卵だったの。だから、一般的な卵で同じ結果になるとは限らないのよ。
さらに、筆頭著者もこの試験を「小規模で仮説を生み出す段階の研究」と述べており、
今後の大規模研究が必要と明言しています。
🧭 現時点で言えること
この研究から言えるのは、心血管リスクのある人でも、短期間で週12個の卵を食べても血中脂質に悪影響は見られなかったという点です。
ただし、
- 試験期間が4か月と短いこと
- 強化卵での結果であること
- 規模が小さいこと
以上から、長期的な安全性を断言できる段階ではないのが現実です。



つまり、卵を食べすぎると危険という従来の見方は見直されつつあるけど、今の時点では1〜2個/日が現実的な安心ラインね🍳



リスクがある人でも、工夫すればうまく取り入れられるってことなんですね🐣
🌏【2025年研究】週1〜6個の卵で全死因・心血管死亡率が低下(オーストラリア8,700人追跡)



2024年の研究は短期間でしたけど、長期的なデータもあるんですか?



あるのよ。2025年のオーストラリアの研究では、週1〜6個の卵を食べる人のほうが、死亡率も心臓病のリスクも低かったっていう結果が出ているの。
🧪 約8,700人を中央値5.9年追跡。週1〜6個の卵で死亡率が低下
この研究(出典:Egg Consumption and Mortality: A Prospective Cohort Study of Australian Community-Dwelling Older Adults, 2025年)は、
ASPREE試験およびALSOPサブ研究のデータを用いた前向きコホート研究で、
70歳以上の地域在住高齢者8,756人を中央値5.9年間追跡しました。
結果として、週1〜6個の卵摂取は全死因および心血管疾患(CVD)による死亡率の低下と関連していました。
| 指標 | 比較群(ほとんど食べない人) | 週1〜6個摂取群 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 全死因死亡率 | ― | 15%低下(HR: 0.85[0.74–0.98]) | 有意に低下 |
| 心血管死亡率 | ― | 29%低下(HR: 0.71[0.54–0.91]) | 有意に低下 |
| がん死亡率 | ― | 差なし | ― |
つまり、「まったく食べない人」よりも、「週に1〜6個食べる人」のほうが、
死亡リスクが低い傾向にあったという結果です。
⚖️ 対象は「比較的健康な高齢者」— 一般化には注意が必要



それって高齢者全体に当てはまるんですか?



いいところに気づいたわね。この研究に参加した人たちは、認知症や心臓病がなく、日常生活を自立して送っていた比較的健康な高齢者なの。だから、すべての高齢者に同じ結果が当てはまるとは限らないのよ。
研究者自身も、この対象群が一般の高齢者より健康的で活動的な層に偏っていると注意喚起しています。
そのため、「健康な高齢者では安全性と潜在的な保護効果が示唆された」という点にとどめて解釈するのが妥当です。
🧭 信頼性の高い長期追跡データとしての価値



でもね、この研究はサンプル数が大きく、追跡も長いし、喫煙や食事全体など多くの要因を調整してあるの。だから、信頼性の高い長期データとして評価されているのよ🍳
この研究は、
- 大規模(8,756人)で長期(中央値5.9年)追跡
- 多くの交絡因子(食事全体・喫煙・活動量など)を統計的に調整
- 死亡確認を複数の情報源で検証(死亡登録簿・医療記録など)
といった点から、研究デザイン上の信頼性は非常に高いとされています。
📊 まとめ:週1〜6個の卵は「死亡率の低下と関連」
- 8,756人を中央値5.9年追跡した研究で、週1〜6個の卵摂取は全死因・CVD死亡率の低下と関連
- 対象は「比較的健康で自立した高齢者」=結果の一般化には注意
- 長期データとしては信頼性が高く、1日1個前後の摂取が安全で現実的なライン



卵を食べすぎると危ないって聞いてたけど、むしろ食べなさすぎのほうが良くないかもしれないんですね🐣



そうね。中程度の摂取が一番健康的って、データでもはっきりしてきてるのよ🌿
🌍【ハーバード大学&AHA】1日1個までなら心臓病リスク上昇なし(国際基準)



海外では卵ってどれくらい食べても大丈夫なんですか?



国際的には、“1日1個までなら心臓病リスクは上がらない”っていう見解が主流なのよ。ハーバード大学の大規模研究やAHA(米国心臓協会)の解析でも、方向性は一致してるの🍳
🧪 ハーバード大学の17万人追跡研究:「1日1個まで安全」
ハーバード大学公衆衛生学部による大規模メタ解析(出典:Harvard T.H. Chan School of Public Health, 2020年)では、
米国・欧州・アジアを含む17万人以上を最長32年間追跡。
結果として、
1日1個までの卵摂取は心血管疾患リスクの上昇と関連しないことが示されました。
研究者らは次のように結論づけています👇
健康的な食事の一部として、1日1個程度の卵を摂取することは心血管疾患リスクを高めない。
つまり、卵の摂取量そのものよりも、食全体のバランスが重要であることが示唆されています。
❤️ AHA(米国心臓協会)メタ解析:地域差あり。アジアではリスク上昇なし
AHAが発表したメタ解析(出典:Circulation, 2022年)では、
49の研究・360万人以上のデータを統合し、地域別にリスクを比較しました。
| 地域 | 結果の傾向(卵摂取50g/日増加ごと=約1個) | リスク上昇率 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| アジア | RR = 0.96[0.87–1.06] | 4%低下(有意差なし) | 有意な関連なし。リスク上昇は認められず、安全傾向 |
| 欧州 | RR = 1.05[0.98–1.14] | 5%上昇 | 境界線上の有意性。軽度の上昇傾向 |
| 米国 | RR = 1.08[1.02–1.14] | 8%上昇 | 有意な上昇。摂取量増加に比例してリスク増加 |
| 全体平均 | RR = 1.04[1.00–1.08] | 4%上昇 | 統計的に有意な正の関連あり |



アジアではリスク上昇が見られなかったの。魚や野菜中心の食文化が関係してると考えられてるの🌿



なるほど。欧米とは食事の組み合わせが違うんですね!
⚖️ 有意な関連はあるが、研究者は“摂取制限”を推奨
この解析では、卵摂取量の増加と心血管疾患リスクの間に、
統計的に有意な正の関連(RR=1.04[1.00–1.08])が認められています。



つまり、1日1個増やすと4%リスクが上がるっていう結果ね。数字だけ見ると小さいけど、研究者たちは長期的な健康のためにコレステロール摂取を控えるべきって警鐘を鳴らしているの🍳



なるほど。影響が小さくても、長い目で見たら気をつけた方がいいんですね!
研究チームはこの結果を、
「私たちの知見は、長期的な心血管の健康と寿命を改善するために、食事性コレステロールの摂取制限を支持するものだ。」
と結論づけています。
したがって、「影響が小さい=気にしなくてよい」ではなく、
健康的な食事の中で、卵の食べすぎを避けることが望ましいという立場です。
🧭 国際的な安全ライン:「1日1個前後が現実的で安心」
これらの結果を総合すると、
- 健康な成人:1日1個までなら心疾患リスクに明確な上昇なし
- アジア人(日本人を含む):リスク上昇は認められず、安全傾向



卵は悪者じゃないけど、やっぱりバランスが大事。1日1個前後が現実的で安心できるラインなのよ🌿



うん、食べすぎず上手に取り入れたいですね🍳
🇯🇵【日本人研究】1日1個の卵で糖尿病リスク上昇なし。女性ではむしろ低下傾向(JPHC研究)



海外では“卵を食べすぎるとよくない”って聞きますけど、日本人も同じなんですか?



それがね、日本の大規模研究では“卵を食べても糖尿病リスクは上がらない”って結果が出てるの。しかも、女性ではリスクが下がったというデータもあるのよ🐣
🧪 約6万人・10年追跡。男性は関連なし、女性はリスク18%低下
日本の大規模疫学研究「多目的コホート研究(JPHC研究)」では、
45〜75歳の男女 約6万3,000人を対象に、平均約10年間追跡したデータを解析しました(出典:DM-NET, 2024年)。
その結果、卵の摂取量と糖尿病リスクには次のような関係がみられました👇
| 性別 | 結果の傾向 | 解釈 |
|---|---|---|
| 男性 | 卵摂取量と2型糖尿病リスクに有意な関連なし | 1日1個程度では問題なし |
| 女性 | 卵摂取量が多いほど糖尿病リスクが有意に低下(約18%低下) | 適度な摂取が代謝にプラスの可能性 |
つまり、卵を毎日食べても糖尿病リスクは上昇せず、女性ではむしろ低下傾向が確認されたという結果です。
⚖️ 日本人では“卵=リスク”とは言えない理由



どうして海外ではリスクが上がるって言われるのに、日本では逆なんですか?



それはね、食文化と脂質代謝の違いが大きいの。日本人は魚・大豆・野菜中心の食生活で、飽和脂肪酸の摂取が少ないのよ🌿
欧米では卵と一緒にベーコンやバター、加工肉を食べることが多く、
それらの脂肪酸がコレステロール上昇に影響します。
一方、日本人は全体の食事バランスが異なるため、卵そのものの影響が穏やかだと考えられています。
📖 日本動脈硬化学会の見解:「卵黄の摂りすぎには注意」
日本動脈硬化学会が発表した「和食のすすめ(The Japan Diet Digest Edition)」では、
動脈硬化性疾患(ASCVD)予防の観点から、卵黄は“できるだけ避ける食品”のひとつとして位置づけられています(出典:日本動脈硬化学会, 2024年)。
ただし、主菜の構成要素としては卵も含まれており、
適量を守ってバランスよく摂取することが推奨されています。



つまり、“卵を完全に避ける必要はない”けど、卵黄の摂りすぎには注意っていう立場なの🐣



なるほど、食べ方と量のバランスが大事なんですね!
💡 日本人にとっての現実的な安心ライン
これらの国内データを踏まえると、
- 1日1個程度の卵摂取は、健康な日本人にとって安全
- 女性では、代謝バランスの維持や糖尿病リスク低下にプラスの可能性
が示されています。
ただし、糖尿病や脂質異常などの既往がある場合は、
医師や管理栄養士と相談しながら、食全体のバランスを整えることが大切です。



卵を控える必要はないけど、食べすぎには注意。
1日1個前後が現実的で安心できるラインなのよ🌿



これなら、朝ごはんの目玉焼きも安心して楽しめますね🍳
🍳【まとめ】週12個までの摂取は現時点で安全と考えられる



結局、卵ってどのくらい食べていいんですか?



最新の研究をまとめるとね——
“1日1〜2個、週で7〜12個”くらいが現時点で最も安全で現実的なのよ🐣
🧠 科学的根拠からみた安全ライン
| 研究 | 対象・内容 | 結果の概要 |
|---|---|---|
| PROSPERITY試験(2024) | 心血管リスクのある中高年140人、4か月間、栄養強化卵を週12個摂取 | LDL・血糖・炎症マーカーに悪化なし。ただし小規模&短期 |
| オーストラリア研究(2025) | 70歳以上の高齢者8756人、平均5.9年追跡 | 週1〜6個の摂取で全死因死亡率15%低下、CVD死亡率29%低下 |
| JPHC研究(日本, 2024) | 6万人以上を10年追跡 | 男性:関連なし、女性:糖尿病リスク18%低下 |
これらを総合すると、
👉 週に7〜12個(1日1〜2個)程度の卵摂取は健康な成人において安全と考えられる
という結論が導けます。
⚖️ 「食べすぎ注意」と「控えすぎ注意」の間をとる



卵は体に悪いって控えすぎるのも、毎日3個以上食べるのも極端なの。
科学的には、その中間がいちばん良さそうなのよ🌿



なるほど、量を守れば安心して食べられるってことですね!
卵は高たんぱくで、ビタミンB群・コリン・ルテインなど脳や筋肉の健康に重要な栄養素も豊富。
ただし、バターやベーコンなど動物性脂肪の多い食材と組み合わせすぎると逆効果になるため、
「卵+野菜+オリーブオイル」などの地中海食スタイルで食べるのがおすすめです。
🍽️ 実践アドバイス:こんな食べ方が◎
| タイミング | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 朝食 | ゆで卵+全粒パン+サラダ | 血糖上昇をゆるやかに、満腹感UP |
| 昼食 | 卵焼き+野菜スープ | タンパク質補給と抗酸化の組み合わせ |
| 運動後 | 半熟卵+納豆ごはん | 筋肉修復とアミノ酸補給に最適 |
💬 最後に:科学の更新を味方にする



卵は1日1個まで”という昔の常識は、もう時代遅れ。
これからは1〜2個をバランスよくが新しい常識なのよ🍳



研究の進歩で、毎朝の卵が安心して食べられるってわかってうれしいです!
✅ まとめ
- 週12個(1〜2個/日)までの摂取は科学的に安全ライン内
- 心血管・糖代謝リスクの上昇は確認されていない
- 食べ方と全体の脂質バランスが重要
- 卵は“控える”より“上手に取り入れる”が現代の科学的結論
📝 ご注意ください
・本記事は、信頼できる資料をもとに薬剤師が分かりやすくまとめた一般情報です。
・内容には十分配慮していますが、個別の症状や体質には必ず医師・薬剤師へご相談ください。
・万一誤り等にお気づきの際は、そっとご指摘いただけると幸いです。
参考文献(出典)
- Egg Consumption and Mortality: A Prospective Cohort Study of Australian Community-Dwelling Older Adults(2025年)
Nutrients. (出典) - Eggs May Not Be Bad for Your Heart After All(American College of Cardiology, 2024年, PROSPERITY trial公式プレスリリース)(出典)
- Moderate Egg Consumption Not Associated with Higher Cardiovascular Disease Risk(2024年)
Harvard T.H. Chan School of Public Health. (出典) - “Associations of Dietary Cholesterol, Serum Cholesterol, and Egg Consumption With Overall and Cause-Specific Mortality: Systematic Review and Updated Meta-Analysis”(出典)
- Egg Consumption and Risk of Type 2 Diabetes in Japanese Adults: Japan Public Health Center–Based Prospective Study (JPHC)(2024年)
DM-NET. (出典) - The Japan Diet Digest Edition(2024年)
日本動脈硬化学会「和食のすすめ」ガイドライン. (出典)









