「超加工食品って、やっぱり太りやすいんですか?」
そんな疑問を、よく聞きます。
スナック菓子や菓子パン、冷凍食品など、便利で身近な超加工食品。
「カロリーが高いから?」「つい食べすぎるのは意志が弱いから?」
と感じている人も多いかもしれません。
みどりん実はね、意志の問題だけでは説明できない研究結果があるんだよ。
今回紹介するのは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)で行われた入院管理下のランダム化比較試験(RCT)です(出典)。
この研究では、参加者に
カロリー量や栄養バランスができるだけ同じになるよう設計された食事が提供され、
そのうえで「好きなだけ食べてよい」と指示されました。
すると結果は──
超加工食品を中心とした食事では、未加工食品中心の食事よりも、1日あたり約500kcal多く摂取していたのです。



えっ…同じように設計されていたのに?
この研究は、
「超加工食品がなぜ自然と食べすぎにつながりやすいのか」を
非常に厳密な条件で検証した、代表的な研究として知られています。
この記事では、
超加工食品を一方的に悪者にするのではなく、
この研究で何が分かり、どこまで言えるのかを、
論文の内容に沿ってやさしく解説していきます。
この記事で分かること
- なぜ超加工食品では同じ条件でも食事量が増えてしまったのか
- 1日約500kcalの過剰摂取が起きた研究の仕組み
- 「カロリー」や「意志力」だけでは説明できない理由
- この研究から言えること/言えないこと
- 日常生活で、どう考えればよいのか(完全に避けなくてもいい理由)



科学的に“どこまで分かっているか”を知ると、
食べ方の選び方も少し変わってくるよ。
超加工食品を
怖がりすぎず、でも軽く見すぎないために。
まずは、この研究結果から一緒に見ていきましょう。
研究の設計:なぜこの研究は信頼できるのか?
この研究が高く評価されている理由は、
「超加工食品そのものの影響」をできる限り純粋に調べる設計が取られている点にあります。
まず押さえておきたいのは、研究の基本的な枠組みです。
入院管理下で行われたランダム化比較試験(RCT)
この試験には、健康な成人男女20名が参加しました。
参加者はNIH(アメリカ国立衛生研究所)の臨床センターに28日間入院し、生活環境・食事内容・行動が厳密に管理されました。
研究はクロスオーバー試験として行われています。
- 前半2週間:
超加工食品を中心とした食事、または未加工食品中心の食事 - 後半2週間:
前半とは反対の食事に切り替え
このように、同じ参加者が両方の食事を体験する設計のため、
「体質の違い」による影響を最小限に抑えられるのが特徴です。



“この人はもともと太りやすい”みたいな差を、かなり減らせる設計なんだよ。
食事内容は「できるだけ同じ条件」になるよう設計されていた
この研究のもう一つの重要なポイントは、
提供される食事の栄養設計が細かくマッチングされていたことです。
具体的には、超加工食品食・未加工食品食の両方で、以下の点ができるだけ一致するように調整されていました。
- 提示された総カロリー量
- 炭水化物・脂質・たんぱく質の比率
- 食物繊維、糖、ナトリウム(塩分)
- 食事全体としてのエネルギー密度
つまり、
「栄養バランスが大きく違うから太った」という説明が成り立ちにくい設計になっています。
食事量は制限せず「好きなだけ食べてよい」
一方で、参加者には次のように指示されていました。
「提供された食事は、好きなだけ食べてよい」
これは非常に重要なポイントです。
この研究は、
「決められた量を食べたらどうなるか」ではなく、
「自然な状況で、人はどれだけ食べてしまうのか」を調べることを目的としていました。



無理に食べさせたり、我慢させたりしてないんだね。
この設計が意味すること
ここまでを整理すると、この研究は、
- 生活環境を入院で統一
- 同じ人が両方の食事を体験
- 栄養設計はできるだけ一致
- 食事量は自由
という条件がそろっています。
そのため、
もし食事量に差が出たとすれば、
“食品の性質そのもの”が影響した可能性が高い
と考えやすい設計になっているのです。
次のパートでは、
この条件のもとで実際に何が起きたのか──
1日約500kcalの差がどのように生まれたのかを、データをもとに見ていきます。
結果:超加工食品では1日約500kcal多く食べてしまった
研究の条件ができるだけそろえられていたにもかかわらず、
食事量にははっきりとした差が現れました。
超加工食品の食事期間では、摂取エネルギーが有意に増加
論文の結果によると、
超加工食品を中心とした食事をとっていた期間、参加者は
未加工食品中心の食事期間よりも、1日あたり平均508±106kcal多く摂取していました。
これは一時的な誤差ではなく、
統計的にも有意な差として確認されています。



“たまたま多く食べた日があった”というレベルじゃないんだよ。
過剰摂取の内訳は「炭水化物」と「脂質」
では、その500kcalはどこから増えていたのでしょうか。
論文では、摂取エネルギーの内訳も詳しく分析されています。
- 炭水化物からの摂取:+280±54 kcal / 日
- 脂質からの摂取:+230±53 kcal / 日
一方で、
たんぱく質の摂取量に大きな差は見られませんでした。
つまり、超加工食品の食事では、
自然と炭水化物や脂質を多く食べてしまう状態が起きていたことになります。
体重にも明確な変化が現れた
この摂取エネルギーの差は、体重にも反映されました。
- 超加工食品の期間:平均 +0.9±0.3kg
- 未加工食品の期間:平均 −0.9±0.3kg
期間はいずれもわずか2週間です。



2週間でここまで差が出るんだ…。
重要なのは、
意図的に太ろうとしたわけではないという点です。
参加者は、
- 食事量を制限されておらず
- カロリー計算もしておらず
- 「普通に食事をしていただけ」
それでも、
超加工食品の食事では自然と摂取量が増え、体重も増加していました。
この結果が示していること
この研究結果が示しているのは、
- 「超加工食品はカロリーが高いから太る」だけでは説明できない、という点です。
同じように設計された食事であっても、
食品の形や性質の違いによって、
人の食べる量そのものが変わってしまう可能性が示されました。
次のパートでは、
なぜこのような差が生まれたのかについて、
研究で示唆されている科学的な理由を整理していきます。
なぜ超加工食品では食べすぎてしまうのか?研究が示した3つの理由
この研究では、
「超加工食品の食事でなぜ摂取エネルギーが増えたのか」について、
食品の形や性質に注目した分析が行われています。
単に「味が良いから」ではなく、
食行動そのものに影響する要因がいくつか示唆されました。
食べるスピードが速くなりやすい(物理的な性質)
まず注目されたのが、食べるスピードの違いです。
論文では、超加工食品の食事中は、未加工食品の食事に比べて
- 摂取速度(kcal/分、g/分)が有意に速かった
ことが報告されています。
超加工食品は一般に、
- 柔らかい
- 噛む回数が少なくて済む
- 飲み込みやすい
といった特徴があります。
その結果、脳に満腹のサインが届く前に、より多くのカロリーを摂取してしまった可能性が考えられます。



“ゆっくり食べよう”って言われる理由が、ちゃんとデータで裏付けられているんだね。
「固形食品」のエネルギー密度が高かった(形態の違い)
次に重要なのが、エネルギー密度の見方です。
この研究では、
- 食事全体(飲み物を含む)のエネルギー密度
は、両群でできるだけ揃えられていました。
しかし、
飲み物を除いた「固形食品」だけに注目すると、
超加工食品のエネルギー密度は未加工食品よりも約85%高かったことが示されています。
飲み物は、固形食品と比べて
- 噛む必要がない
- 胃の中にとどまる時間が短い
- 満腹感を得にくい
という特徴があります。
そのため、「食べ物そのものにどれだけエネルギーが詰まっているか」という違いが、過剰摂取につながった可能性が指摘されています。
満腹を伝えるホルモンの反応が弱かった(生物学的な性質)
さらに、研究では食欲関連ホルモンにも注目しています。
未加工食品を中心とした食事では、
- 食欲を抑えるホルモン(PYY)が増加
- 空腹を促すホルモン(グレリン)が減少
という、自然な満腹シグナルが確認されました。
一方、
超加工食品の食事期間では、
これらのホルモン変化が十分には見られませんでした。



同じくらい食べてても、体の反応が違ってたんだね…。
この結果は、
超加工食品が人の食欲調節システムとうまく噛み合わず、
“食べすぎにブレーキがかかりにくい状態”を作る可能性を示唆しています。
3つをまとめると何が言えるのか
ここまでの内容を整理すると、
超加工食品では、
- 食べるスピードが速くなりやすい
- 固形食品のエネルギー密度が高い
- 満腹シグナルが十分に働きにくい
という要因が重なり、
本人が意識しなくても摂取エネルギーが増えやすい環境が生まれていたと考えられます。
これは、
「意志が弱いから」「自己管理ができないから」
といった単純な話ではありません。
次のパートでは、
こうした結果を踏まえて、
この研究から“言えること”と“言えないこと”を整理していきます。
この研究から何が言えて、何が言えないのか?超加工食品研究の正しい読み取り方
この研究は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)で行われた、入院管理下のランダム化比較試験(RCT)という点で、
超加工食品研究の中でも非常に信頼性の高いものです。
ただし、どんな優れた研究にも限界があります。
ここでは、この研究から
- 言えること
- 言えないこと
を整理しておきましょう。
この研究から「言えること」
まず、論文の結果から比較的はっきり言えることは次の点です。
超加工食品は、意識しなくても摂取エネルギーが増えやすい
この研究では、
- カロリー設計
- 栄養バランス
- 食事環境
をできるだけ揃えた上で、
超加工食品の食事では自然と摂取量が増えたことが示されました。
つまり、同じように設計された食事でも、食品の加工度や性質によって、食べ方が変わる
という点は、強いエビデンスをもって示されたと言えます。
「食べすぎ」は意志の弱さだけでは説明できない
食べるスピード、エネルギー密度、満腹ホルモンの反応などを考えると、
超加工食品では
- 自覚しにくい
- 我慢している感覚がない
まま、摂取エネルギーが増えていた可能性があります。



“つい食べすぎる”のは、性格の問題じゃない場合も多いんだよ。
この点は、
食行動を個人の責任だけに押し付けない視点として重要です。
この研究から「言えないこと」
一方で、この研究だけでは言えないこともあります。
超加工食品を「完全に避けるべき」とは断定できない
この研究は、
- 短期間(2週間ずつ)
- 20名という比較的少人数
- 特定の食事メニュー
で行われています。
そのため、
- すべての超加工食品が同じ影響を持つ
- 長期的にも必ず同じ結果になる
と断定することはできません。
「少量なら安全」「量がすべて」とも言い切れない
この研究は「好きなだけ食べた場合」の結果です。
そのため、
- 少量を意識的に食べた場合
- 食事全体の組み合わせを工夫した場合
にどうなるかまでは、直接検証していません。



じゃあ、量や食べ方もやっぱり大事ってことだね。
この研究をどう受け止めるのが現実的か
この研究が教えてくれるのは、
超加工食品は、食べ方を工夫しないと“気づかないうちに食べすぎやすい食品群”である
という点です。
- 怖がって極端に避ける必要はない
- でも、「何も考えずに食べ続けていい」とも言えない
そんな中間的な立ち位置が、
この研究を正しく読む上でのポイントになります。
次のパートでは、
こうした知見を踏まえて、
日常生活でどう考え、どう付き合えばよいのかを整理していきます。
超加工食品はどう付き合えばいい?研究をふまえた現実的な食事の考え方
この研究を知ると、
「じゃあ超加工食品は全部ダメなの?」と不安になる人もいるかもしれません。
でも、論文の内容を丁寧に読むと、
極端な結論を出す必要はないことも分かります。
大切なのは、
超加工食品の“性質”を理解したうえで、付き合い方を選ぶことです。
「完全に避ける」よりも「食べ方を意識する」
今回の研究が示したのは、
- 超加工食品は
無意識のうちに食べすぎやすい
という点でした。
裏を返せば、
- 食べる量
- 食べるスピード
- 食事全体の組み合わせ
を意識することで、
影響を和らげられる可能性もあります。



“加工されているかどうか”だけで判断しなくていいんだよ。
食事の“主役”と“脇役”を分けて考える
日常生活では、
- 毎食すべてを未加工食品でそろえる
のは現実的ではありません。
そこでおすすめなのが、
- 主役(食事のベース):未加工・最小加工の食品
- 脇役(補助・嗜好):超加工食品
という考え方です。
たとえば、
- 主食・主菜・副菜はシンプルな食材で
- 間食や一部に超加工食品を取り入れる
といった形でも、
食事全体のバランスは整えやすくなります。
ゆっくり食べるだけでも意味がある
研究では、
食べるスピードの速さが過剰摂取と関係していました。
そのため、
- 一口ごとに噛む回数を意識する
- ながら食べを避ける
- 料理の「形」を残す(スープだけで済ませない)
といった工夫は、
超加工食品を含む食事でも役立つ可能性があります。



“早食いしやすい”って分かってるだけでも、ちょっと意識変わるね。
「ゼロか100か」で考えないことが続けるコツ
健康情報でよくあるのが、
- 食べるならアウト
- 避けられない自分はダメ
という考え方です。
でも、この研究が示しているのは、
人の食行動は環境や食品の性質に強く影響されるという事実。
だからこそ、
- 完璧を目指さない
- 知ったうえで選ぶ
ことのほうが、長く続きやすくなります。



“知って選ぶ”だけでも、体への影響は変わってくるよ。
まとめ:この研究が日常にくれるヒント
この研究は、
超加工食品を「悪者」にするためのものではありません。
- なぜ食べすぎやすいのか
- どんな点に注意すればいいのか
を教えてくれる、ヒント集のような存在です。
怖がりすぎず、軽く見すぎず。
自分の生活に合った形で、
超加工食品と付き合っていくことが大切です。
まとめ|超加工食品を「知ったうえで選べる人」になるために
この記事では、NIHで行われた入院管理下のランダム化比較試験(Hallら, 2019)をもとに、
- なぜ超加工食品では食べすぎやすくなるのか
- それは「意志の弱さ」だけでは説明できないこと
- 日常生活でどう考えればよいのか
を整理してきました。
最後に、要点をシンプルに振り返ります。
この記事の要点
- 同じように設計された食事でも、
超加工食品では1日約500kcal多く摂取されていた
- その背景には
- 食べるスピードが速くなりやすい
- 固形食品のエネルギー密度が高い
- 満腹シグナルが十分に働きにくい
という食品の性質そのものの違いがあった
つまり、食べすぎは「自己管理の失敗」だけではなく、環境や食品の影響も大きい
- だからといって、超加工食品を完全に避ける必要があるとは限らない
- 大切なのは性質を理解したうえで、食べ方や付き合い方を選ぶこと
この知識を知った先にある未来
この研究を知ると、
- 「また食べすぎた…」と自分を責める
- 健康情報に振り回されて極端になる
そんな状態から、少し距離を置けるようになります。



“なぜ起きているか”が分かると、対処の選択肢が増えるんだよ。
- ゆっくり食べてみよう
- 主役の食材を少し意識してみよう
- 今日はこれを選ぼう
そんな小さな判断の積み重ねが、
無理なく続く食習慣につながっていきます。
超加工食品を「怖がらず、軽く見ない」
この研究が教えてくれるのは、
「超加工食品=悪」ではなく、人は、食べやすい環境では自然と食べすぎてしまう生き物だ
という、とても現実的な事実です。
だからこそ、
- 完璧を目指さない
- 知ったうえで選ぶ
- 自分の生活に合う形を探す
そんなスタンスが、長い目で見て一番健全です。
超加工食品を
怖がりすぎず、でも油断もしない。
そのバランスを取るための「軸」として、
今回の研究が役立てばうれしいです。
📝 ご注意ください
・本記事は、信頼できる資料をもとに薬剤師が分かりやすくまとめた一般情報です。
・内容には十分配慮していますが、個別の症状や体質には必ず医師・薬剤師へご相談ください。
・万一誤り等にお気づきの際は、そっとご指摘いただけると幸いです。
参考文献
Hall KD, Ayuketah A, Brychta R, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. Cell Metab. 2019;30(1):67-77.e3.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7946062/ PMC









