最近、運動する時間がなくて…でも健康のために何かしたい
そんな声、よく聞きます。
でも実は、
最新の大規模研究で科学的に証明されたように、
「階段をのぼる」だけで寿命が延び、心臓や脳の健康がサポートされるだけでなく、
脂質代謝や血糖値、骨密度にも良い影響があることがわかっています。
すずちゃんえっ、本当に階段だけでそんなに変わるの?運動ってほどでもない気がするけど…



そう思うよね。でも研究では、階段をのぼる人ほど長生きって結果が出ているの。しかも、心臓や脳に良い刺激を与えることまで確認されているんだよ🌿
通勤や買い物、家の中の“ちょっとした階段”を使うだけで、
わざわざジムに行かなくても、
1日の中で少し意識するだけで体は確実に変わり始めます。
この記事では、信頼性の高い研究データをもとに、
「なぜ階段をのぼるだけで健康が変わるのか?」をやさしく解説していきます。
🔍 この記事でわかること
- 最新の大規模研究で示された「階段をのぼる人ほど長生きする」科学的根拠
- 階段が心臓・脳・代謝に与えるメカニズム
- 1日どのくらいの階段昇降で効果が期待できるのか
- 忙しい人でもできる“日常の階段活用テク”
最新研究が示す「階段をのぼる人は長生き」の理由
近年、階段昇降と健康寿命の関係を調べる研究が世界各地で進んでいます。
その中でも特に注目されているのが、イギリスのUK Biobankプロジェクトを活用した大規模研究です。
この解析では、身体活動量と死亡リスクの関係を調べた結果、
日常的に階段を使うなど、短時間でもこまめに体を動かす人ほど、全死因や心血管疾患による死亡リスクが低い傾向が報告されています(出典)。



えっ、たった階段の上り下りでそんなに違うの?



そうなの。階段は短時間でも心拍数が上がるから、心臓や血管にしっかり刺激が入るの。ウォーキングより効率的な面もあるって言われているよ💡
さらに、オーストラリア・シドニー大学のStamatakisら(2022)の研究では、
1日わずか1〜2分の激しい間欠的なライフスタイル活動を1日3回行った人は、
全死因死亡率が約40%、心血管疾患による死亡リスクが約48%低下していたことが報告されています(出典)。
階段をのぼる動作は、この短時間高強度活動の代表的な形のひとつ。
短時間でも息が上がるような強度で体を動かすことで、血流が増え、
血管の内皮機能(血管が広がる力)が保たれやすくなると考えられています。



毎日のちょっとした階段が、実は“長生きスイッチ”みたいなものなんだね!



その通り✨ エレベーターをやめて階段を選ぶ。それだけでも、未来の健康を守る一歩になるんだよ🌿
💡このパートのまとめ
- UK Biobankをはじめとする大規模研究で、身体活動量の多い人ほど寿命・心血管リスクが低い傾向
- Stamatakisら(2022)の研究では、1日数分の短時間高強度活動で死亡リスクが40〜48%低下
- 階段昇降は、誰でもできる短時間高強度活動として効果的
脳を活性化し、代謝も整える「階段のちから」
階段をのぼることは、心臓や血管のためだけでなく、脳の働きやメンタル、代謝にも良い影響を与えることが、近年の研究で明らかになっています。
しかも、ポイントは「ほんの少し動かすだけでOK」ということ。
🧩 脳と気分:軽い階段昇降で思考が冴える
日本の山口大学大学院 医学系研究科の研究では、ごく軽い階段昇降(2階分)でも思考力の一部が向上することが報告されています(出典)。
この研究では、創造的思考を「発散的思考(自由な発想)」と「収束的思考(正しい答えを導く力)」に分けて分析。
その結果、2階分の階段をのぼったグループでは、エレベーター利用者に比べて収束的思考スコアが顕著に向上しました。



頭を使う前にちょっと動くと、スイッチが入る感じあるよね🌿



2階分くらいなら無理せずできそう! それで思考力も上がるなんてびっくり!
一方で、8階分以上の階段をのぼるような中強度の運動では、喜びの感情が低下し、思考力の改善効果も見られませんでした。
つまり、“軽く動かす程度”が脳にとってちょうど良い刺激になるということ。
実際、研究では階段昇降の強度と効果の関係が逆U字型を示し、
最も効果が高かったのは「非常に軽い強度(HRmaxの約54%)」の2階分の昇降でした。
🍬 代謝と血糖:3分×2回でも変わる
日本の研究では、食後に3分間の階段昇降を2回行うだけで、血糖コントロールが改善することが報告されています(出典)。
被験者は2型糖尿病の男性で、食後60分と120分に3分間の階段の上り下りを行うというシンプルな方法を2週間続けました。
結果、食後高血糖の指標となる1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)が約11.5%上昇し、
血糖値の急上昇を抑える効果が示唆されました。



たった3分×2回でそんなに変わるの?!



そうなの🌿 食後に軽く階段をのぼるだけで、
血糖の上がりすぎをやわらげられるって報告があるんだよ。
インスリン感受性(HOMA-IR)には大きな変化は見られませんでしたが、
これは参加者がもともとインスリン抵抗性を持たない人たちだったためと考えられています。
つまり、激しい運動をしなくても、食後に少し体を動かすだけで代謝が整いやすくなるということ。
階段を使う習慣は、忙しい人でも続けやすい“血糖リセット法”です。
💫 メンタルにもプラスの変化
ニュージーランドのオタゴ大学(University of Otago)を中心に行われた研究では、
6分間の階段昇降によって、参加者の幸福感と活力(エネルギー感)が有意に高まることが報告されています(出典)。
この研究では、健康な若年成人を対象に、1分間の階段昇降を6セット(合計6分)実施し、運動をしない対照群と比較。
その結果、階段昇降後には「より活動的(energetic)」「より幸福(happy)」と感じる傾向が統計的に有意に高まり、
短時間でも気分のリフレッシュやモチベーション向上につながることが確認されました。



6分の階段だけで気分が上がるなんて、ちょっとしたリセットに良さそう!



うん🌿 通勤や休憩時間に少し動くだけでも、“心のエネルギー”を取り戻せるんだよ。
なお、この研究ではドーパミンやセロトニンなどの脳内物質を直接測定してはいないため、
「ホルモンが増える」というよりも、気分や活力が客観的に改善したとするのが科学的に正確です。
💡 このパートのまとめ
- 2階分程度の階段昇降で、正しい答えを導く力(収束的思考)が向上
- 強すぎる運動は逆効果。軽い刺激が脳に最適
- 食後3分×2回の階段昇降で、血糖コントロールが改善
- 6分間の階段昇降で、幸福感・活力が有意に上昇
- 階段は「脳・代謝・メンタル」を同時に整える、万能ミニ運動



体にも頭にもメンタルにも効くなんて、まさに万能だね!



しかもタダでできるから、続けるほどお得な習慣だよ✨
🚶♀️どのくらい階段をのぼれば効果がある?|今日からできる実践法
ここまで見てきたように、階段をのぼることは心臓・脳・代謝・メンタルすべてに良い影響をもたらします。
では実際、どのくらい階段をのぼれば健康効果が得られるのでしょうか?
⏰ 1日6〜10階分(約50〜100段)が理想的
イギリスのUK Biobankによる大規模コホート研究では、
1日に6〜10階分(約50〜100段)の階段をのぼる人は、
階段をまったくのぼらない人に比べて、全死因死亡リスクが約9%低いことが報告されています(出典)。



1日6階分って、オフィスや駅でちょっと階段を使うくらいだね!



そうそう🌿 わざわざジムに行かなくても、“日常の動き”で十分な健康効果があるんだよ。
階段をのぼると短時間でも心拍数が上がり、下半身の大きな筋肉が働くことで血流が促進されます。
その結果、心臓のポンプ機能や代謝が刺激され、血管の健康を保つ助けになると考えられています。
🧩 “まとめて”より“こまめに”
「時間がない」「続けられない」という人でも大丈夫。
階段の効果は、細切れでもちゃんと出ます。
カナダ・マクマスター大学の研究では、
1日3回、3階分(約20〜22秒)の全力階段昇降を週3回、6週間続けるだけで、
最大酸素摂取量(VO₂max)が約5%、脚のパワー(ピーク出力)が約12%向上したことが報告されています(出典)。
このような短時間の運動は「エクササイズ・スナック」と呼ばれ、
忙しい人でも心肺機能を効率よく高める方法として注目されています。



このやり方は“エクササイズ・スナック”って呼ばれてるんだ🌿



スナック? おやつみたいに少しずつ運動を足していく感じだね!
つまり、1回20〜30秒の階段昇降を数回という短時間の積み重ねでも、
心肺機能や筋力アップにつながるということです。
🍱 生活の中で取り入れるヒント
| シーン | やり方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 通勤・通学 | エレベーターを使わず2〜3階分だけ階段に | 朝の階段は血流を促し、脳の覚醒にも◎ |
| 仕事の合間 | 昼休みや会議前に1〜2分だけ昇降 | 6分以内でも気分や集中力のリフレッシュに |
| 食後 | 60分後と120分後に3分間の階段昇降 | 食後血糖の上昇をやわらげる |
| 家の中 | 1分×3セットを朝・昼・夜に | ながら運動でも代謝と骨密度アップに効果的 |



こうして見ると、意外と“やろうと思えばできる”時間って多いね!



うん🌿 “1分だけ動く”を習慣にするだけで、体も気分も確実に変わってくるよ。
💡 このパートのまとめ
- 1日6〜10階分(約50〜100段)で、全死因死亡リスクが約9%低下
- 1回20〜30秒の階段昇降を数回でもVO₂max・脚力が向上
- 通勤・家事・食後など、生活の中で階段を活かすのがポイント
- “完璧にやる”よりも、“無理なく続ける”ほうが効果的✨



私、エレベーターの前で“ちょっとだけ階段使おう”って思うことから始めてみる!



それで十分🌿 その一歩が、未来の健康貯金になるよ。
今日から“ちょっと階段”をはじめよう
ここまで見てきたように、階段をのぼるというシンプルな動作には、
「心臓」「脳」「代謝」「メンタル」すべてを整える力があります。
特別な道具も、長い運動時間もいりません。
“いつもの階段”が、いちばん身近なトレーニングジムなんです。
💡 階段を使うときの3つのコツ
| コツ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 無理せず軽めに | 息が上がりすぎない程度がベスト | 2段だけでもOK! “軽い刺激”が脳や心に◎ |
| ② こまめに分ける | 1分×3セットなど分割しても同じ効果 | 「運動スナック」習慣で続けやすい |
| ③ タイミングを決める | 通勤・食後・家事のついでに | 決まった時間にすると習慣化しやすい |



2階分でもいいって聞くと気が楽だね! 通勤のとき、1階分だけ階段にしてみようかな。



それで十分だよ🌿 “できる範囲で続ける”ことがいちばん大事なの。
🚀 続けると、こんな未来が待っている
最初は“1日ちょっとだけ”でも、
それを続けた先には、
- 朝の目覚めがスッキリ
- 階段で息切れしにくくなる
- 気分が前向きで疲れにくい
- 食後の血糖やむくみが整う
- 「体を動かすのが気持ちいい」と思える
そんな変化を感じられるはずです。



“健康のために運動しなきゃ”じゃなくて、“気持ちいいから続けたい”って思えたら理想だね!



うん🌿 その感覚がいちばん強い“続くスイッチ”なんだよ。
✨ 最後に:今日の一歩を“未来の健康貯金”に
長生きする人ほど、階段をのぼっている
これは偶然ではなく、科学で裏付けられた事実です。
ほんの数段の階段が、
心臓を守り、脳を活性化し、血糖を整え、気分まで前向きにしてくれる。
忙しい毎日でも、“ちょっと階段を選ぶ”だけで、
あなたの未来の健康が少しずつ積み上がっていきます。



今日、どこかで1回だけ階段を使ってみよう🌿



うん! 未来のわたしのために、“今日の一段”から始めてみる✨
🔖 この記事のまとめ
- 階段昇降は心臓・脳・代謝・メンタルに好影響
- 1日6〜10階分で全死因死亡リスク約9%低下
- 階段をよく使う人は心血管疾患リスク約24%低下
- 短時間でも効果あり(20〜30秒×数回)
- “軽め・こまめ・続ける”の3原則でOK✨
📝 ご注意ください
・本記事は、信頼できる資料をもとに薬剤師が分かりやすくまとめた一般情報です。
・内容には十分配慮していますが、個別の症状や体質には必ず医師・薬剤師へご相談ください。
・万一誤り等にお気づきの際は、そっとご指摘いただけると幸いです。
参考文献
- Stork MJ, Marcotte-Chénard A, Jung ME, Little JP.
Exercise in the workplace: examining the receptivity of practical and time-efficient stair-climbing “exercise snacks”.
Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism. 2024;49(1):30–40.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37748202/ - Sánchez-Lastra MA, et al.
Stair climbing and mortality: a prospective cohort study from the UK Biobank.
Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle. 2021; 12(2): 298–307.
https://www.ukbiobank.ac.uk/publications/stair-climbing-and-mortality-a-prospective-cohort-study-from-the-uk-biobank/ - Evaluating the impact of a short bout of stair-climbing on creative thinking in a between-subjects pretest posttest comparison study.
Scientific Reports. 2024;14:176.
https://www.nature.com/articles/s41598-023-50282-2 - Honda H, Igaki M, Hatanaka Y, Komatsu M, Tanaka S, Miki T, Matsuki Y, Takaishi T, Hayashi T.
Repeated 3-minute stair climbing–descending exercise after a meal over 2 weeks increases serum 1,5-anhydroglucitol levels in people with type 2 diabetes.
Journal of Physical Therapy Science. 2017;29(1):75–78.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5300809/ - Blanchard CM, et al.
Stair Climbing Improves Cognitive Switching Performance and Mood in Healthy Young Adults: A Randomized Controlled Crossover Trial.
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https://link.springer.com/article/10.1007/s41465-024-00294-1 - Jenkins EM, et al.
Do stair climbing exercise “snacks” improve cardiorespiratory fitness?
Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism. 2019; 44(6): 681–684.
https://cdnsciencepub.com/doi/10.1139/apnm-2018-0675









