乾癬患者1200人が実感した食事と生活習慣の工夫|薬物治療と併用できるセルフケア

「乾癬と向き合うセルフケア」をテーマにしたイラスト。 白衣姿のみどりん(うさぎ)とオレンジ服のすずちゃんが登場し、野菜や魚のイラスト、チェックリスト風アイコンが背景に描かれている。 食事改善や生活習慣の工夫を楽しく実践するイメージを表現した横長デザイン。

乾癬は薬物治療が基本の疾患です。本記事は生活習慣の工夫に関する一般情報であり、自己判断せず、必ず主治医と相談しながら取り入れてください。

すずちゃん

乾癬って、薬で治療するのが中心だよね。でも、普段の生活で気をつけられることってあるのかな?

みどりん

うん、その通り。乾癬はまず医師の治療を継続することが基本だよ。ただ最近の研究では、食事や体重管理、ストレスケアなど、毎日の生活習慣も症状や全身の健康に関わっていることが報告されているんだ。

乾癬は「皮膚の病気」というだけでなく、心身に広く影響を及ぼす慢性疾患です。
薬物治療は欠かせませんが、それに加えて 生活習慣を工夫することが、症状との付き合い方をより良くする一助になる 可能性があります。

特に米国で行われた1,200人以上の乾癬患者を対象とした調査では、多くの人が「食事や生活習慣を見直すことで症状の変化を実感した」と報告しています(出典)。

この記事では、研究データや患者の声をもとに、薬物治療を続けながら実践できるセルフケアのヒントをご紹介します。
※必ず医師と相談のうえ、自分に合った方法を取り入れてください。

すずちゃんが「生活習慣も関係あるの?」と問いかけ、みどりんが「薬+セルフケアが大事だよ」と答えているイラスト。背景に薬・野菜・運動・睡眠を象徴するアイコンが配置され、乾癬セルフケアのスタートをイメージしている横長の図。

この記事でわかること

  • 肥満と乾癬悪化の関係、体重管理の重要性
  • 食事の工夫(アルコール・グルテン制限、野菜・魚油の追加など患者が実感した工夫)
  • 薬物治療とあわせて取り入れたい、無理のないセルフケアの考え方
目次

肥満は乾癬悪化の要因に|減量が症状改善に有効とされる

「体重計にのるすずちゃんと、それを見守りながら『体重管理は乾癬に大きく影響するんだよ』と解説するみどりん。背景にはBMIやメジャーのイラストが描かれ、乾癬ケアにおける体重管理の重要性を表現している。
みどりん

乾癬と関係の深い生活習慣のひとつが“体重”なんだよ。

すずちゃん

えっ、皮膚の病気なのに、体重も関係あるの?

減量は症状改善に有効とされる

乾癬患者に対して減量が有効である可能性が、米国乾癬財団の医療委員会によるシステマティックレビューで示されています。
特に過体重や肥満の患者においては、低カロリー食による減量が疾患の重症度を軽減するための強力なエビデンスとして報告されており、標準的な薬物療法と併用する補完的なアプローチとして推奨されています(出典)。

体重管理の工夫としての運動

このレビューは食事による介入が中心ですが、生活習慣の一環として運動を組み合わせることも体重管理の一助になります。ウォーキングや軽い運動など、無理なく続けられる活動が推奨されます。

みどりん

乾癬ケアは薬の治療が基本だけど、生活習慣も合わせて工夫するとプラスになるんだよ。

食事の工夫で症状に変化を感じた患者も

すずちゃん

食事って、乾癬に関係あるのかな?

みどりん

うん、関係があると感じている患者さんは多いよ。実際に大規模な調査で“食事を工夫したら症状が変わった”という声が報告されているんだ。

米国で行われた1,200人以上の乾癬患者を対象とした調査では、食事の工夫によって「症状が改善、または完全に消失した」と感じた人が多数いました(出典)。

患者が報告した改善率(主な除去・削減項目)

除去・削減項目改善または完全な消失を報告した割合
アルコール53.8%(462人中251人)
グルテン53.4%(459人中247人)
ナス科植物52.1%(297人中156人)
ジャンクフード50.0%(687人中346人)
白い小麦粉製品49.9%(573人中288人)
乳製品47.7%(424人中204人)
貝類39.0%(186人中73人)
高脂肪食36.9%(519人中193人)
カフェイン36.4%(275人中102人)
豚肉35.6%(276人中99人)
タバコ35.0%(370人中131人)
赤肉30.4%(509人中156人)
塩分21.2%(356人中76人)

👉 このように、アルコールやグルテン、加工食品を控えることで半数前後の患者が「症状の変化を実感した」と報告しています。

個人差と「続けにくさ」への配慮が大切

グルテンフリーはセリアック病や関連抗体が陽性の患者に効果が見られやすいとされ、それ以外では必ずしも有効とは限りません

「ナス科植物」や「乳製品」なども、人によって合う・合わないが異なります。

また、この調査は観察研究で、患者自身の報告に基づく改善率です。そのため、効果の感じ方には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。

👉 つまり「短期間で効果を期待する」よりも、無理のない範囲で生活に取り入れることが大切です。

※この調査結果は患者自身の回答に基づくものであり、医学的に確立された治療法ではありません。そのため、必ず薬物治療を継続し、医師の指導のもとで食事を工夫することが大切です。

すずちゃん

なるほど…“やめるだけ”って思っても、実際には続けるのが大変なんだね。

みどりん

そうだね。だからこそ、医師と相談しながら、自分に合った範囲で工夫するのが安心なんだよ。

アルコール、パン、ジャンクフード、乳製品に✖印を重ねたイラスト。すずちゃんが『控えたら変化を感じた人が多いんだね』とコメントしている。みどりんが横で見守り、背景には食品制限のイメージが表現されている。

取り入れると良かった食品・栄養素

すずちゃん

さっきは“控える食品”だったけど、逆に“取り入れると良いもの”もあるの?

みどりん

あるよ。実際に患者さんが『これを食事に加えたら症状がよくなった』と報告している食品や栄養素もあるんだ。

米国の1,200人以上の乾癬患者を対象にした調査では、以下のような「取り入れて改善を感じた食品・栄養素」が挙げられました(出典)。

患者報告による「取り入れると改善を実感した食品・栄養素」

食品・栄養素改善または完全な消失を報告した割合
魚油/オメガ3 (Fish oil / omega-3)44.6% (556人中250人)
野菜 (Vegetables)42.5% (575人中247人)
経口ビタミンD (Oral vitamin D)41.0% (545人中216人)
プロバイオティクス (Probiotics)40.6% (434人中178人)
フルーツ (Fruits)34.6% (534人中187人)

患者報告から見えるポイント

  • オメガ3脂肪酸ビタミンDは抗炎症作用・免疫調整作用が期待される栄養素で、改善を感じた患者が比較的多い。
  • 野菜や果物を増やすことも、多くの患者が好ましい変化を実感。
  • プロバイオティクスは腸内環境との関連が注目されており、一定の改善実感が報告された。
すずちゃん

へえ〜!食事でプラスできるものもあるんだね。ちょっと希望がわいてきた!

みどりん

繰り返しになるけど、これは患者さんの自己報告に基づく調査だから、必ずしもすべての人に効果があるとは限らないんだ。薬物治療は継続しつつ、医師と相談しながら自分に合った工夫を見つけていくのが安心だよ。

実際の食事法でも改善を感じた患者が多数

すずちゃん

食事の工夫って、“食べ物を減らす”や“足す”以外に、食事法そのものを変える人もいるの?

みどりん

そうだね。食事全体のスタイルを変えることで、症状が軽くなったと感じた患者さんもいるんだ。

患者報告による「改善を実感した食事法」

食事法改善または完全な消失を報告した割合
パガーノダイエット(野菜・果物を中心に、ナス科やジャンクを控える)72.2%(18人中13人)
ヴィーガン(動物性食品を完全に除く)70.0%(29人中20人)
パレオダイエット(狩猟採集時代の食事を参考にしたスタイル)68.9%(62人中42人)
グルテンフリーダイエット52.9%(191人中101人)
低糖質ダイエット(高タンパクを含む)51.7%(89人中45人)
地中海式ダイエット(魚・オリーブオイル・野菜果物を重視)48.4%(31人中15人)
ベジタリアン(肉を避けるが乳製品などは可)40.4%(52人中21人)

※各食事法の具体的な内容や注意点については、本記事では詳細を扱っていません。
興味のある方は信頼できる情報源を参考に調べてみてください。
地中海式ダイエットについては、当ブログでも詳しく解説しています 👇

取り入れる際の注意点

  • 多くの患者が改善を実感したと回答していますが、あくまで観察研究での自己報告です。
  • 「万人に効果がある食事法」というわけではなく、自分の体調やライフスタイルに合うかどうかを見極める必要があります。
  • 食事法の中には栄養が偏りやすいものもあるため、自己判断で極端に制限するのは避け、医師や専門家に相談することが大切です。
すずちゃん

へえ〜!こんなにいろんな食事法が試されているんだね。でも、なんだか大変そう…。

みどりん

そうだね。無理に全部やる必要はないんだよ。薬の治療を続けながら、自分に合う工夫を少しずつ取り入れるのが一番安心だよ。

セルフケアはロードマップで少しずつ

すずちゃん

全部一気に変えるのは大変そう…。どこから始めればいいのかな?

みどりん

大丈夫!ポイントを順番に取り入れていけばいいんだよ。無理なく続けることが一番大切だからね。

ステップ1|体重管理を意識する(最重要)

肥満や過体重は乾癬の重症度を悪化させる要因とされ、低カロリー食による減量が強力な改善エビデンスとして報告されています(出典)。
👉 いきなり極端な食事制限ではなく、少しずつ体重をコントロールすることが推奨されます。
※必ず薬物治療を継続し、主治医と相談のうえで実践してください

ステップ2|まずはお酒を控える

患者報告で最も改善率が高かったのがアルコール制限(53.8%)。
👉 「毎日飲む」から「週末だけ」に変えるなど、小さな工夫でも続けやすくなります。
※飲酒習慣がある方は、必ず医師と相談して調整してください。

ステップ3|小麦やジャンクフードを減らす

グルテン(53.4%)、ジャンクフード(50.0%)、白い小麦粉製品(49.9%)を減らすと改善を実感した患者が多い結果が出ています。
👉 例えば「菓子パンをおにぎりに置き換える」「スナック菓子を控える」といった工夫が取り入れやすいです。
※無理のない範囲で少しずつ試すことがポイントです。

ステップ4|乳製品やナス科植物を見直す

乳製品(47.7%)、ナス科植物(52.1%)も改善を感じた患者がいますが、効果には個人差があります。
👉 「減らしてみて様子を見る」「合わなければ戻す」など、自分に合った形を見つけることが大切です。
※必ず主治医に報告しながら調整しましょう。

ステップ5|生活習慣のケア(ストレス・睡眠)

乾癬は心身に広く影響するため、ストレスや睡眠不足も悪化要因とされています。
👉 趣味やリラックス法でストレスを和らげる、規則正しい睡眠リズムを心がけるといった生活習慣の工夫も大切です。
※これも薬物治療と並行して取り入れることが前提です。

みどりん

一度に全部やる必要はないよ。自分に合いそうなところから、少しずつ取り入れていこう!

まとめ|薬物治療を続けながら、自分に合ったセルフケアを

すずちゃん

こうして見ると、乾癬って皮膚だけの問題じゃなくて、生活習慣とも深くつながっているんだね。

みどりん

そうだね。だからこそ、薬の治療を続けながら、毎日の生活でできる工夫を取り入れると前向きに付き合いやすくなるんだよ。

本記事のポイント振り返り

  • 体重管理(減量)は最重要:システマティックレビューで強い改善エビデンスがある。
  • 控えた方が良い食品:アルコールやグルテン、ジャンクフードなどで多くの患者が改善を実感。
  • 取り入れると良かった食品・栄養素:オメガ3、野菜、ビタミンD、プロバイオティクスなど。
  • 食事法の工夫:パガーノ、ヴィーガン、パレオ、地中海式などで改善を報告する患者も。
  • 生活習慣のケア:ストレス対処や睡眠の質を高めることも重要。

大切なメッセージ

  • 効果の感じ方には個人差があり、万人に当てはまる方法ではないことを忘れないでください。
  • 必ず 薬物治療を継続し、主治医と相談しながら 無理のない範囲で取り入れていくことが安心です。
すずちゃん

なるほど!『やめる』『取り入れる』『見直す』『整える』って少しずつ工夫すればいいんだね。

みどりん

うん、自分に合ったセルフケアを見つけながら、医師と一緒に前向きに取り組んでいこう!

📝 ご注意ください
・本記事は、信頼できる資料をもとに薬剤師が分かりやすくまとめた一般情報です。
・内容には十分配慮していますが、個別の症状や体質には必ず医師・薬剤師へご相談ください。
・万一誤り等にお気づきの際は、そっとご指摘いただけると幸いです。

参考文献

  • Ford AR, Siegel M, Bagel J, et al. Dietary Recommendations for Adults With Psoriasis or Psoriatic Arthritis: From the Medical Board of the National Psoriasis Foundation. JAMA Dermatology. 2018;154(8):934–950. (出典)
  • Afifi L, Danesh MJ, Lee KM, et al. Dietary Behaviors in Psoriasis: Patient-Reported Outcomes from a U.S. National Survey. Dermatology and Therapy. 2017;7(2):227–242. (出典)
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この記事を書いた人

薬剤師みどりんが、論文と専門知識をベースに、
30代女性の健康・美容・ストレスケアに役立つ情報をやさしく発信中🍀
医療現場での5年以上の経験を活かし、“本当に体にいいこと”を厳選してお届けします。
難しい話も、キャラと一緒にわかりやすく・実践できる形で紹介しています🐰

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